北島寛さんという写真家の「日々常々」を買った。

有山達也氏がアートディレクションだったことで気になって買った。息子が写真家の北島明氏だということを後から知る。というか北島明氏を知らなかった。

いい意味で滑稽な写真集。昭和中期の生活を切り取ったスナップ写真群なのだが、これまで接してきたその年代の写真とは雰囲気がまるで異なる。戦後の生活を切り取ったスナップ写真と言えば出てくるのが、まずは東松照明氏。そして奈良原一高氏。彼らに共通しているのは、激しさというか視線の厳しさ。沖縄、長崎、軍艦島という歴史的背景のある場所を選んできたのもあるかもしれないが、彼らの視線からは確固たる強さ、眼差しの厳しさがほとばしっている。写真集一冊見終わる頃にはこっちも疲労困ぱいなのです。
「日々常々」にはそんな気負いが全くなく、ただただ面白い、構図が面白い、状況が面白い、顔が面白い、そんなゆるい写真が連なっている。作者の意志や気負いが過剰でない作品は、みてて気が楽だ。だからこちらにも感じたり考える余裕ができる。

北島 寛
キタジマ・カン
1926年、中国天津市旧日本租界生まれ。海軍甲種飛行予科練習生~茨城県神ノ池海軍神雷部隊特攻基地に配属され、1945年に復員。日本大学専門部商科に学び、1953年米軍納品会社に入社、福岡支店設立のため1955年福岡に移り住む。1961年までアマチュア写真家として、カメラ雑誌のコンテストなどで多数入賞。1957、1959、1961年度国際写真サロン入賞。1957年、NHKテレビ写真コンテスト年度賞。その後プロに転向し、北島コマーシャルスタジオ設立。1962年社団法人日本広告写真家協会(APA)九州支部入会。現在、特別会友。[写真集]「思い出の博多」(2003年、海鳥社)「昭和30年代の福岡」(共著、2007年、アーカイブス出版)「日々常々」(2009年、西日本新聞社)

http://kaichosha-f.co.jp/persons/290.html

(2020年6月7日 追記)

10年越しに、北島寛さんの息子の北島明氏を調べると、欅坂46・平手友梨奈も撮ってる写真家でした。